しゃべり方で歯並びが変わる!?舌機能と小児矯正の深い関係を徹底解説
2025年12月9日
しゃべり方で歯並びが変わる!?舌機能と小児矯正の深い関係を徹底解説

お子さんの「しゃべり方」に、少し気になるところはありませんか?
実は、日常的な発音の仕方や舌の使い方が、歯並びに大きな影響を与えることがあります。小児矯正の現場では、単に歯を動かすだけでなく、舌の機能や口周りの筋肉を正しく整えることが、美しい歯並びを長期的に維持するために極めて重要だと考えられています。
本記事では、東京歯科大学大学院を修了した専門家の視点から、舌機能と小児矯正の深い関係について詳しく解説します。お子さんの歯並びに不安を感じている保護者の方、矯正治療を検討されている方にとって、きっと役立つ情報をお届けできるはずです。
舌の位置と機能が歯並びに与える影響とは
歯並びが悪くなる原因は、遺伝的要因だけではありません。実は、日常的な舌の位置や動き、口周りの筋肉の使い方が、歯並びの形成に大きく関わっているのです。
正常な状態では、舌の先端は上の前歯の裏側からほんの少し後ろにある歯ぐきの膨らみ(「スポット」と呼ばれる位置)に軽く触れています。そして、舌全体が上顎に密着して上がっているのが理想的です。この状態を保つことで、上顎の成長が適切に促され、歯が並ぶためのスペースが確保されます。
しかし、舌が常に下がっている状態(「低位舌」)や、舌が歯と歯の間に挟まる癖(「舌癖」)がある場合、歯に不自然な圧力がかかり続けます。その結果、出っ歯(上顎前突)や受け口、開咬(前歯が噛み合わない状態)などの不正咬合が引き起こされることがあるのです。

口呼吸が歯並びに及ぼす悪影響
口呼吸も、歯並びを悪化させる大きな要因の一つです。
口を開けて呼吸をすると、舌が下顎に沿ったまま格納される状態になります。すると、上顎の成長を阻害してしまい、歯が並ぶためのスペースが不足してしまうのです。また、口呼吸は病原菌が粘膜に直接付着しやすくなるため、風邪を引きやすくなるというデメリットもあります。
鼻呼吸に改善することで、睡眠の質が向上し、体内への酸素供給が増えて集中力も高まります。お子さんの呼吸の仕方を日頃からよく観察してみてください。
舌癖が引き起こす歯並びの問題
舌癖とは、口を閉じている間に舌先が常に歯に触れている状態を指します。
通常、舌先は上の前歯の付け根より少し手前のスポットに当たっているべきですが、舌が常に歯に触れていると、歯に不自然な圧力をかけてしまいます。その結果、歯が前に出てしまうなどの弊害が生じる可能性があります。
また、食事を飲み込む際に舌を前側に突き出してしまう「逆嚥下」も、歯並びを悪化させる要因となります。これらの癖は、お子さん自身では気づきにくいため、保護者の方が注意深く観察することが大切です。

MFT(口腔筋機能療法)で舌機能を改善する
舌の位置や口周りの筋肉の使い方を改善するために、「MFT(口腔筋機能療法)」という訓練法があります。
MFTは、Oral Myofunctional Therapyの略で、お口の周りの筋肉と舌を「正しい機能」に改善する機能訓練法のことです。姿勢と舌の位置の改善を行い、正しい飲み込み方と鼻呼吸の癖をつけて、お口周りの筋肉などの機能を正しく導いてあげることで、悪い歯並びを予防します。
MFTは、単に歯を動かすだけでなく、歯並びが悪くなる根本的な原因を改善するため、矯正治療の効果を高め、後戻りを防ぐ効果も期待できます。矯正装置での治療と並行してMFTトレーニングを行うことで、矯正治療をスムーズに進めることができるのです。
MFTの3つの訓練内容
MFTの訓練内容には、以下の3つの要素があります。
- 個々の筋肉の訓練
舌、唇、咀嚼筋など、それぞれの筋肉の機能改善を行います。その際、筋肉の力を強めるだけでなく、緊張しすぎている筋肉をリラックスさせ、全体的にバランスのとれた状態を目指します。
- 咀嚼・嚥下・発音・呼吸の訓練
これらの動作をする際、口腔周囲筋(唇・ほほ・あご・舌などの口の周りの筋肉)がかける筋圧を適正化し、正しく動作ができるようにします。それと同時に、歯並びの悪化を防ぎます。
- 舌と唇の正しい姿勢の訓練
リラックスしたときに「舌と唇がいつも正しい位置にある」ことを目指します。「正しい位置」とは「筋肉が歯並びに悪影響を与えない位置」です。舌と唇が正しい位置にあるかどうかは、特に歯並びに大きな影響を与えるとされています。
自宅でできるMFTトレーニング方法
MFTには、ご自宅でも簡単に取り組めるトレーニング方法があります。
スポットポジション
普段なにもしていない時や飲み込みをするときに舌の先が触れる位置を覚えます。まず、スティック(アイスクリームの棒など)でスポットを触り、次にスティックを離して同じ場所を舌の先で触ります。このとき、舌の先を丸めないで、舌の脇を締め、先を尖らせることが大切です。これを交互に5回繰り返します。
ポッピング
舌を持ち上げる力をつけるトレーニングです。舌全体を上あごに吸い付け、口を大きく開けて舌の裏のヒモ(舌小帯)を伸ばします。次に舌を下におろし「ポン!」と音を立てます。舌全体が吸い付いていないと軽い音がしてしまいます。これを15回程度繰り返します。
スラープ&スワロー
ものを飲み込む動作、嚥下(えんげ)の練習です。舌を上に付けて飲み込むことと、舌の脇を使って水を奥に集めることを練習します。舌の先をスポットにつけて舌全体を上あごに吸い付け、上の犬歯(糸切り歯)の後ろにストローを置いて、舌の裏側に当てます。そしてそのまま軽く歯を咬みあわせ、スプレーで口の横から奥歯に向かって水を吹き入れ、音を立てて水を吸い込みます。後ろに水を集めたら、奥歯を噛んだままゴクンと飲み込みます。これを左右交互に5回ずつ繰り返します。
小児矯正におけるⅠ期治療とⅡ期治療の違い

子供の矯正治療は、大きく分けて「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階に分かれます。
歯並びの状態によってはⅠ期治療のみで完了する場合もありますが、お子さんの身体的負担やご家庭の経済的負担を考慮して、Ⅱ期治療に移行することが望ましい場合もあります。
Ⅰ期治療〜歯並びを悪くする習慣の改善〜
Ⅰ期治療では、歯並びを悪くしてしまう習慣を矯正するために「歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)」という方法で改善していきます。
お子さんの歯並びが悪くなってしまう大きな原因には、噛み合わせや口の使い方の癖による口腔周囲筋の機能不全が見出されます。具体的には、口を閉じている間に舌先が歯の裏に当たってしまっている「舌癖」、食事を飲み込む際に舌が前側に出て行ってしまう「逆嚥下」、日常的に口を開けたまま呼吸をしてしまう「口呼吸」などです。
歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)矯正は、歯を直接動かすのではなく、習慣の改善から歯並びを悪化させないようにするトレーニングを通じて理想の歯並びに近づけていきます。取り外し可能なマウスピース型の装置を日中1時間と就寝時に装着し、筋機能療法(口呼吸の改善、適切な舌の位置・舌や口唇の筋肉の動きの習得、適切な飲み込み方を促すトレーニング)を併用します。
Ⅱ期治療〜永久歯の歯並びを整える〜
Ⅱ期治療は、永久歯に生え変わった後に行う矯正治療です。
「歯並びが悪い」「歯が回転してねじれた状態で生えてきた」「上下の歯がうまく噛み合わない」など、Ⅰ期治療だけでは改善できない問題がある場合に必要となります。すべての歯に矯正装置を装着し、理想的な歯並び、かみ合わせを目指す治療です。
Ⅱ期治療には、唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型)とマウスピース矯正(インビザライン)の2種類があります。ワイヤー型は歯にワイヤー型の装置を取り付けて行う治療で、マウスピース矯正は透明なマウスピース型の矯正装置を定期的に取り換えながら、歯並びを整える治療です。
マウスピース矯正の良さは、マウスピースが透明で目立ちにくい点と、取り外し可能なためお口の違和感を最小限に抑えることができる点にあります。これまでと変わらず食事を楽しむことができ、マウスピースを外せば歯磨きや装置の洗浄も簡単に行うことができます。
Ⅰ期治療とⅡ期治療の費用と治療期間
むらせ歯科幕張院では、予防矯正(Ⅰ期治療)が440,000円、本格矯正(Ⅱ期治療)は唇側マルチブラケット矯正が770,000円~880,000円、マウスピース矯正が880,000円~1,100,000円(いずれも税込、患者によって金額は異なる)となっています。
治療期間は個人差がありますが、Ⅰ期治療は1年半~3年程度、Ⅱ期治療は2~3年程度が目安となります。治療後はメンテナンス・保定治療を行い、きれいに並んだ歯並びを維持します。歯並びというのは、永久的なものではなく、加齢変化で徐々にでこぼこが出てくるものです。アンチエイジングの意味でも、きれいに並んだ歯をずっときれいに維持するためには保定装置を用いたメインテナンスが必要になります。
舌小帯短縮症(ハート舌)と歯並びの関係
舌小帯(ぜっしょうたい)は、舌の裏側に位置する粘膜性のひだで、舌下面と口腔底(舌の付け根の内側)をつなぐ帯状の組織です。
先天的にこの舌小帯が短い、または厚く緊張している場合には、舌の動きに制限が生じます。この状態は、医学的には舌小帯短縮症(ankyloglossia)と呼ばれ、日本語では「短舌症」とも表現されます。舌小帯短縮症のある方が舌を前に突き出すと、舌先が中央で引き込まれ、ハートのような形に見えることがあり、これが俗に「ハート舌」と呼ばれるゆえんです。
舌小帯短縮症のチェック方法
舌小帯の異常は、家庭でもある程度チェックすることが可能です。
舌で上唇を舐めることができるか、舌を前に出したときの形を見る(舌を真っすぐ前に出すとき、舌先がV字型、もしくはハート型に分かれて見える場合)、発音の発達の遅れを観察する(幼児期に特定の音が言いにくい、「ら行」がうまく言えない、「た・さ・な」など舌を使う音が不明瞭な場合)などがチェックポイントです。
また、乳児の場合は授乳中の様子を見ることも重要です。吸い付きが弱い、ミルクを飲むのに時間がかかる、母乳を飲んだ後でも満足しない様子が続くなども舌小帯が短いことによる影響かもしれません。自宅でのチェックで気になることがあった場合は、歯科や小児科での診察をおすすめします。
舌小帯切除が必要なケース
舌小帯が短い場合でも、すべてのケースで外科的処置が必要になるわけではありません。
舌の可動域に明らかな制限がなく、日常生活や発達に支障が認められない軽度の短縮であれば、経過観察で対応することが一般的です。しかしながら、哺乳・構音・摂食嚥下機能・顎顔面の成長発育などに明らかな影響が認められる場合には、舌小帯形成術や切除が検討されます。
具体的には、新生児・乳児期の哺乳困難、幼児期以降の発音障害(構音障害)、摂食・嚥下機能への影響、歯列や顎の成長への影響などが挙げられます。舌の低位(舌が下に沈んだ状態)は、上顎骨の発育不足や歯列不正(開咬や叢生など)に関連することが報告されています。成長期の骨格発育や歯列矯正治療に悪影響を及ぼすリスクがある場合、早期の介入が推奨されることもあります。

むらせ歯科幕張院の小児矯正へのアプローチ
むらせ歯科幕張院では、透明なマウスピースを用いた矯正治療を提供しています。
特に世界的に高いシェアを誇るインビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正装置)を導入しており、透明で目立ちにくく、取り外し可能なため口内の違和感を最小限に抑えられるという特徴があります。マウスピース矯正の特徴として、アプリを活用した患者と医院のコミュニケーションが挙げられます。このアプリではスライドショーを使って歯の移動軌跡をチェックでき、マウスピースの交換時期のお知らせにも役立っています。
虫歯・歯周病治療にも対応した総合的なアプローチ
むらせ歯科幕張院は、矯正治療だけでなく、虫歯や歯周病などの治療にも対応しています。
矯正治療を始めるうえで、何よりも重要なのは口内環境維持ですから、まずは虫歯や歯周病がないかしっかりとチェックし、必要があれば病気の治療から始めます。矯正専門クリニックでは虫歯や歯周病の治療まで対応しないケースが多い中、むらせ歯科幕張院ではこれらの治療も行っている点が特徴です。
また、歯並びや噛み合わせの悪さから生じる顎関節トラブルに対しても、初期治療としてスプリント療法(別途費用11万円・税込)を実施することが可能です。これにより、顎関節症起因の頭痛や肩こり、顎の痛みや疲れ、歯ぎしり、顎の異音などの改善が期待できます。
矯正治療の流れと費用体系
矯正治療の流れは、まず矯正相談からスタートし、資料取り(口の状態や身体の状態を把握するための検査)、診断(資料の診断結果の説明)を経て、治療に移ります。
永久歯がすべて生え揃う前のお子様は予防矯正から始める場合があります。診断の結果を踏まえて、治療に移ります。費用は予防矯正が440,000円、本格矯正は唇側マルチブラケット矯正が770,000円~880,000円、マウスピース矯正が880,000円~1,100,000円(いずれも税込、患者によって金額は異なる)です。
治療後はメンテナンス・保定治療を行い、きれいに並んだ歯並びを維持します。再診料は予防矯正が3,300円/月、本格矯正が5,500円/月(税込)となっています。
矯正治療のリスクと副作用について
矯正治療には、一般的なリスクや副作用があることも理解しておく必要があります。
矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。また、矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
まとめ〜舌機能を整えて美しい歯並びを〜
お子さんの歯並びは、遺伝的要因だけでなく、日常的な舌の位置や動き、口周りの筋肉の使い方に大きく影響されます。
口呼吸、舌癖、逆嚥下などの悪習慣を改善することで、歯並びを悪化させないようにすることができます。MFT(口腔筋機能療法)を通じて、正しい舌の位置や飲み込み方を習得することで、矯正治療の効果を高め、後戻りを防ぐことができるのです。
小児矯正は、Ⅰ期治療で悪習慣を改善し、必要に応じてⅡ期治療で永久歯の歯並びを整えるという2段階のアプローチが効果的です。舌小帯短縮症(ハート舌)など、舌の機能に問題がある場合は、早期の診察と適切な対応が重要となります。
むらせ歯科幕張院では、透明なマウスピース矯正(インビザライン)を中心に、虫歯・歯周病治療、顎関節症治療にも対応した総合的なアプローチで、お子さんの美しい歯並びと健康な口腔環境をサポートしています。お子さんの歯並びに不安を感じている方は、ぜひ一度専門家に相談してみてください。
美しい歯並びは、お子さんの一生の財産となります。早めの対応が、将来の笑顔を輝かせる第一歩となるはずです。






