親知らずの抜歯

親知らずは必ずしも抜く必要はありません

日本では「親知らず＝抜歯」というイメージが定着していますが、実は親知らずは必ずしも抜かなければならないというわけではないのです。

たとえば親知らずは、奥歯を失った際の「予備の歯」として役立てることができます。また、ブリッジ型の人工歯をセットするケースでも、親知らずがあると非常に便利です。

そのため、親知らずが適切な位置に生えてきており、痛みを感じないのであれば、放置しておいてもとくに問題はありません。

ただし、顎が小さい方は親知らずが斜めに生えてきてしまうことがあるため、その場合は抜歯が必要となります。結論からいうと親知らずは、「問題になりそうなら抜歯する」というスタンスでうまく付き合っていくのがよいのです。

当院では、患者さんの状態や要望をしっかりと勘案しながら、親知らずの抜歯を判断いたします。親知らずのことで困りごとがあれば、まずはお気軽にご相談ください。親身にお話を伺い、適切なアドバイスをいたします。

親知らずを抜歯するメリット・デメリット

メリット

• ブラッシングがしやすくなり、虫歯・歯周病を防ぐ
• 口臭が改善される
• 歯並びの悪化を防ぐ

デメリット

• 抜歯後に腫れる（数日で治まります）
• 抜歯で空いた穴に食べかすが詰まることがある（約1ヵ月程度で解消されます）

まずは歯科医師と相談し、抜歯のメリット・デメリットを理解してご納得いただいた上で親知らず治療に臨むことをお勧めします。

親知らずの抜歯を的確に行うための取り組み

患者さんに負担をかけず、的確に抜歯を行うために、当院では次のような取り組みを行っております。

CTによる事前診断

複雑な生え方をしている親知らずは、顎の神経や太い血管を傷つけてしまう恐れがあるため、レントゲン写真を用いて抜歯の計画を立てていきます。

より的確な抜歯を行うために、CTを使って画像を三次元化し、立体的に親知らずの状態を把握します。

※CTを使用するかどうかは、症例によって異なります。CTは保険適用になる場合と適用外になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

親知らずの抜歯症例

①水平埋伏歯（すいへいまいふくし）

抜歯の難易度が高い症例の一つが、「水平埋伏歯」です。顎の骨の中に親知らずが埋まっている状態のため、歯茎を切り開いたり、歯や骨を一部削ったりして抜歯を行う必要があります。

②戦略的抜歯（せんりゃくてきばっし）

現状は放置していても問題がないとみなされている親知らずが、将来的にはトラブルを引き起こしうると判断して抜歯を行うことを「戦略的抜歯」といいます。

戦略的抜歯を行うには、歯科医師の専門知識による的確な判断が不可欠です。「他の歯科医院で抜歯は必要ないよと言われたが、本当に大丈夫なの？」と不安をお持ちの方は、お気軽に当院にご相談ください。

親知らずに関するよくある質問

右の親知らずを抜いたら、左の親知らずも抜かないといけませんか？

そのようなことはございません。左右の親知らずと同様に、「上顎の親知らずを抜いた場合は下顎の親知らずを抜かなければならない」という決まりもありませんのでご安心ください。また、それによって顔のバランスが崩れてしまうというリスクもありません。

親知らずが生えてくると他の歯が押されて歯並びが悪くなるというのは本当でしょうか？

それに関する論文が多数提出されており、結論をいうと現在の歯科医学の世界では「親知らずによって歯並びが悪くなるということはない」という見解でほぼ一致しています。

どんな親知らずでも抜歯してくれますか？

当院はほとんどの症例に対応することができますが、以下のケースに当てはまる場合は、大学病院等にご紹介をさせていただきます。

• 心臓病または重度の糖尿病の全身的なリスクが高い方（ただし高血圧の方は問題ありません）
• 極度の歯科恐怖症のため、抜歯時に全身麻酔をご希望される方
• 生え方の問題で、親知らずの抜歯を行う際に、神経や血管を傷つけてしまう可能性のある方

親知らずの抜歯にかかる費用はどれくらいですか？

親知らずの抜歯は保険適用範囲内で対応することが可能です。通常であれば、1本あたり1,000～2,000円程度が相場となります。ただし親知らずの生え方が複雑になっているなど、抜歯の難易度が高い場合は5,000円ほどかかりますので、あらかじめご了承ください。

親知らずの移植は行っていますか？

はい、当院で対応可能です。ただし、すべての親知らずを移植できるわけではありませんので、あらかじめご了承ください。詳細については専門の医師がご説明いたしますので、まずはぜひ一度、当院にご相談していただければと思います。

親知らずの抜歯以外の口腔外科も幅広く対応しています

当院では、親知らずの抜歯だけでなく、「顎関節症」「口内炎」「スポーツや事故による外傷」「歯牙移植手術」といった幅広い口腔外科に対応しております。

「顎に違和感がある」「腫れや痛みが気になる」など……口元のことで何かお困りごとや不安がございましたら、お気軽にご相談ください。