インプラント周囲炎の予防対策〜歯科医が教える5つの方法
2025年11月30日

インプラント周囲炎とは何か
インプラント治療を受けた方にとって、最も注意すべき合併症が「インプラント周囲炎」です。
この病気は、インプラントの周りに細菌が蓄積することで発生する炎症性疾患であり、放置すると歯茎の腫れや出血だけでなく、インプラントを支える骨が溶けてしまう深刻な状態に進行します。天然歯における歯周病と似た症状を示しますが、インプラントには歯根膜というバリア機能がないため、細菌が骨に到達しやすく、進行速度が非常に速いという特徴があります。
インプラント周囲炎の発生率は、研究によって異なりますが、インプラント治療を受けた方の約10%から20%の間で発生するとされています。長期間にわたる追跡調査では、治療後5年から10年で約22%から43%の患者さんに何らかの形でインプラント周囲炎が発生することが報告されており、決して珍しい病気ではありません。
初期段階では「インプラント周囲粘膜炎」と呼ばれ、インプラント周辺の歯肉が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりする程度の症状です。しかし、この段階で適切な処置を行わないと、炎症は骨にまで及び、インプラントがグラグラと揺れ始め、最終的には抜け落ちてしまう可能性があります。

インプラント周囲炎を引き起こす主な原因
インプラント周囲炎の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
セルフケア不足による細菌の蓄積
最も大きな原因は、日々の歯磨きが不十分で、インプラント周辺に汚れや細菌が残ってしまうことです。正しいブラッシングができていない場合、プラーク(歯垢)が蓄積し、細菌感染を引き起こします。インプラントは天然歯と異なり、歯根膜という細菌の侵入を防ぐバリアがないため、細菌が骨に到達しやすく、炎症が急速に進行する傾向があります。
喫煙習慣がもたらすリスク
喫煙は口腔内の血流を減少させ、組織の修復能力を低下させます。これにより、インプラント周囲の組織が細菌感染に対して脆弱になり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。また、喫煙は歯肉の炎症を悪化させるため、インプラント周囲炎になりやすい方の代表的な特徴として挙げられます。
歯ぎしりや食いしばりによる過度な負担
歯ぎしりや食いしばりなど、インプラント治療を行った部分に過度な負荷をかける癖がある方も、インプラント周囲炎のリスクが高まります。過度な咬合力は、インプラントと骨の結合部分にストレスを与え、炎症を誘発する可能性があります。
基礎疾患の影響
糖尿病や心臓病などの基礎疾患を抱えている方は、免疫力が低下しやすく、細菌感染に対する抵抗力が弱まります。そのため、インプラント周囲炎を発症しやすい傾向があります。ただし、適切な体調管理と生体モニタリングを行うことで、インプラント治療が可能になることもあります。
インプラント周囲炎の進行段階と症状
インプラント周囲炎は、段階的に進行していきます。
初期段階:インプラント周囲粘膜炎
初期の段階では、インプラント周辺の歯肉が赤く腫れ、柔らかく感じられるようになります。歯ブラシや歯間ブラシを使用した際に出血が見られることもあります。この段階では、痛みはほとんどなく、自分で気づくことは難しいものの、定期検診をきちんと受けていれば、歯科医が早期に発見し、患部の洗浄やプラーク・歯石の除去といった処置を行うことができます。
中期段階:骨吸収の開始
中期では、歯磨きの際に歯肉から出血したり、食事や会話の際にインプラントが不安定になっている感覚を感じるようになります。歯周ポケット(歯やインプラントの周りにある薄い溝の部分)がかなり深くなっており、歯科医の診察時に確認できます。痛みはほとんどありませんが、この段階になると、インプラントの周りの歯茎を切開し、侵入している細菌を殺菌する必要があります。歯茎の切開から手術時の傷が治るまでに3カ月ほどかかります。
末期段階:インプラントの脱落リスク
末期では、顎の骨(歯槽骨)と結合していたインプラントが脱落した状態になっており、食事の際に物を噛むと痛みを感じたりします。また、歯肉が膿んで口臭がすることもあります。この段階になると、一度インプラントを抜き、患部の治療を行う必要があります。治療後にインプラントを埋め込むことも可能ですが、その場合は改めてインプラント治療を最初から行うことになります。
インプラント周囲炎を予防する5つの方法

インプラント周囲炎を予防するためには、日々の適切なケアと定期的な専門的管理が不可欠です。
方法1:正しいブラッシング技術の習得
インプラント周囲炎を予防する最も基本的な方法は、正しいブラッシング技術を身につけることです。丁寧にブラッシングし、汚れやプラークを着実に落としていくことが重要です。インプラント周辺は特に注意深く磨く必要があり、歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かすことで、効果的にプラークを除去できます。
方法2:デンタルフロスと歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間やインプラントの隙間に溜まった汚れを完全に除去することはできません。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、細かい部分まで丁寧に清掃することが大切です。特にインプラント周辺は、天然歯よりも細菌が蓄積しやすいため、毎日のケアに取り入れることをお勧めします。
方法3:定期的な歯科検診とメンテナンス
インプラント周囲炎は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的に歯科医を受診してインプラントと口内の状況をチェックしてもらうことが非常に重要です。専門的なクリーニングにより、セルフケアでは落としきれないプラークや歯石を除去し、インプラント周囲の健康状態を維持することができます。むらせ歯科幕張院では、科学的根拠に基づいた患者さん個別に合わせたメンテナンスプログラムを提供しています。
方法4:禁煙と生活習慣の改善
喫煙は、インプラント周囲炎の大きなリスク要因です。血行を悪くする生活習慣をなるべく辞めることで、インプラント周囲の組織の健康を保つことができます。また、バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけることで、免疫力を高め、細菌感染に対する抵抗力を強化することができます。
方法5:歯ぎしり・食いしばり対策
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、就寝時にマウスピースを装着することで、インプラントへの過度な負担を軽減できます。また、日中も意識的に歯を食いしばらないように注意することが大切です。ストレス管理やリラクゼーション法を取り入れることで、無意識の食いしばりを減らすことができます。
むらせ歯科幕張院のインプラント周囲炎予防への取り組み
むらせ歯科幕張院では、「かけがえのない歯を残すためにベストを尽くす」という理念のもと、インプラント治療とその後のメンテナンスに力を入れています。
同院では、安易に抜歯やインプラントを勧めるのではなく、まず天然歯を残す治療の可能性を追求し、どうしても抜歯が必要な場合に限りインプラントを提案するという方針を掲げています。インプラント治療における「安心・安全」を最優先するため、東京歯科大学出身の根本悠平医師が担当し、CT装置、シミュレーションソフト、ガイデッドサージェリーを用いたコンピュータインプラント技術を活用しています。
この技術により、人為的ミスを最小限に抑え、治療の正確性と成功率を高めています。また、世界シェア1位のストローマンや世界4大インプラントメーカーの1つであるノーベルバイオケアの製品を使用し、「ガイドデント」による5年保証システムを導入しています。この保証は、偶発的な破損や脱落も保証対象となり、全国の認定医院で保証を受けられる安心のシステムです。
インプラント治療後のメンテナンスも重視しており、患者さん個別に合わせたメンテナンスプログラムを提供しています。定期的な口腔内の状態管理により、インプラント周囲炎の早期発見と予防を実現しています。基礎疾患(糖尿病や心臓病など)がある方でも、内科医による所見も参考にしながらインプラント治療の可能性を検討しており、他院で断られた方も諦めずに相談できる体制を整えています。
まとめ:インプラントを長く使い続けるために
インプラント周囲炎は、適切な予防対策を行うことで、そのリスクを大幅に減らすことができます。
正しいブラッシング技術の習得、デンタルフロスと歯間ブラシの活用、定期的な歯科検診とメンテナンス、禁煙と生活習慣の改善、歯ぎしり・食いしばり対策という5つの方法を日常生活に取り入れることで、インプラントを長期間にわたって健康な状態で維持することができます。
インプラントは、他の健康な歯を守り、しっかり噛め、見た目が自然で話しやすいという多くのメリットがあります。さらに、「噛む」という行為が脳に新鮮な血液を送り込む作用があり、認知症予防にも効果的であるという研究結果も報告されています。せっかく受けたインプラント治療の効果を最大限に活かすためにも、日々のケアと定期的なメンテナンスを怠らないことが大切です。
むらせ歯科幕張院では、科学的根拠に基づいた個別のメンテナンスプログラムを提供し、患者さん一人ひとりに合わせたインプラント周囲炎予防をサポートしています。インプラント治療をご検討中の方、すでにインプラント治療を受けられた方も、ぜひ一度ご相談ください。あなたのかけがえのない歯を守るために、私たちが全力でサポートいたします。






