小児矯正と虫歯予防の深い関係性〜専門医が解説する重要性
2025年10月21日
小児矯正と虫歯予防の深い関係性について
お子さんの歯並びが気になっていませんか?
小児矯正と虫歯予防は、実は深い関係性があります。歯並びが悪いと歯磨きがしづらく、虫歯のリスクが高まるのです。逆に、虫歯があると適切な矯正治療ができないこともあります。
私は東京歯科大学大学院を修了し、長年小児矯正に携わってきました。その経験から、この二つの治療が互いに影響し合う重要性を実感しています。

小児矯正を始めるベストなタイミングは、お子さんの歯並びの状態によって異なります。一般的には7歳頃に一度歯科医院を受診することをお勧めします。早期発見・早期治療が効果的な矯正につながるケースが多いからです。
この記事では、小児矯正と虫歯予防の関係性、そのメリットとデメリット、適切な治療法について詳しく解説します。お子さんの将来の健康な歯を守るために、ぜひ最後までお読みください。
小児矯正が虫歯予防に与える影響
歯並びが悪いと、歯ブラシが届きにくい場所ができてしまいます。そこに食べかすが溜まり、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。
特に、歯が重なり合っていたり、ねじれて生えていたりすると、毎日の歯磨きで隅々まで清掃することが難しくなります。お子さんの場合、自分で十分に歯磨きができないことも多く、さらにリスクが高まります。
小児矯正によって歯並びを整えることで、以下のような虫歯予防効果が期待できます:
- ・歯ブラシが届きやすくなり、効果的な清掃が可能になる
- ・歯と歯の間の清掃がしやすくなる
- ・食べ物が歯に挟まりにくくなる
- ・唾液の流れがスムーズになり、自然な洗浄効果が高まる
北海道大学などの研究チームによると、生活習慣と虫歯リスクには深い関係があることがわかっています。特に低年齢のお子さんほど、夜更かしなどの夜型生活によって虫歯リスクが高まることが証明されています。
つまり、小児矯正と生活習慣の改善を同時に行うことで、より効果的に虫歯を予防できるのです。
どう思いますか?お子さんの歯並びと虫歯予防、両方を考えることの重要性が伝わりましたか?
虫歯予防が小児矯正の成功を左右する理由
矯正治療を始める前に、まず大切なのは口内環境の維持です。虫歯や歯周病がある状態で矯正治療を始めると、様々な問題が生じる可能性があります。
矯正装置を付けると、どうしても歯の清掃が難しくなります。特にワイヤー型の装置は、食べ物が挟まりやすく、虫歯リスクが高まります。
虫歯予防が矯正治療の成功に影響する理由は以下の通りです:

- ・健康な歯と歯茎があってこそ、安全に歯を動かすことができる
- ・矯正中の虫歯は治療の中断や遅延の原因になる
- ・虫歯による歯の欠損は、理想的な歯並びの実現を難しくする
- ・矯正装置装着中は虫歯リスクが高まるため、事前の予防と管理が重要
むらせ歯科幕張院では、矯正治療だけでなく、虫歯や歯周病などの治療にも対応しています。矯正専門のクリニックでは虫歯や歯周病の治療まで対応してくれないケースも多いため、総合的に対応できる歯科医院を選ぶことが重要です。
矯正治療を始める前に、まずは虫歯や歯周病がないかしっかりとチェックし、必要があれば病気の治療から始めることが、成功への第一歩なのです。
小児矯正の適切な開始時期と治療法
「子どもの矯正はいつから始めるべき?」
これは多くの親御さんが抱える疑問です。小児矯正の開始時期は、お子さんの歯並びの状態や成長段階によって異なります。
一般的には、永久歯が生え始める6〜7歳頃に一度歯科医院を受診し、専門医の診断を受けることをお勧めします。この時期は、顎の成長をコントロールできる重要な時期だからです。
年齢別の小児矯正アプローチ
小児矯正は大きく分けて「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階に分かれます。
Ⅰ期治療は主に混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行われ、顎の成長を促したり、悪習慣を改善したりすることが目的です。この時期の治療では、「歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)」などが使用されます。
Ⅱ期治療は永久歯がほぼ生え揃った時期に行われる本格的な矯正治療です。ワイヤー型の装置やマウスピース型の装置を使用して、歯を理想的な位置に動かします。

小児矯正で改善できる悪習慣
お子さんの歯並びが悪くなる大きな原因には、口腔周囲筋の機能不全があります。具体的には以下のような悪習慣です:
- ・口を閉じている間に舌先が歯の裏に当たってしまう「舌癖」
- ・食事を飲み込む際に舌が前側に出てしまう「逆嚥下」
- ・日常的に口を開けたまま呼吸をしてしまう「口呼吸」
これらの習慣は、単に歯並びだけでなく、お子さんの顔の成長にも影響します。例えば、口呼吸を続けていると、上顎の成長が阻害され、歯並びが悪くなるだけでなく、風邪も引きやすくなります。
Ⅰ期治療では、これらの悪習慣を改善するためのトレーニングを行います。正しい舌の位置や呼吸法を身につけることで、将来的な歯並びの悪化を防ぎます。
効果的な虫歯予防法と小児矯正中の注意点
小児矯正中は特に虫歯予防が重要です。矯正装置があると歯磨きが難しくなるため、より丁寧なケアが必要になります。
フッ素の活用で虫歯リスクを減らす
虫歯予防に最も効果的なのは「フッ素」の活用です。フッ素には以下のような効果があります:
- ・エナメル質を強化し、酸に強い歯を作る
- ・初期の虫歯(白斑)を修復する再石灰化を促進する
- ・虫歯菌の働きを抑制する
日本歯科医師会も推奨するフッ素は、定期的に使用することで効果が持続します。特に矯正中は、フッ素入り歯磨き粉の使用と、歯科医院での定期的なフッ素塗布がお勧めです。
年齢に合わせたフッ素濃度の選択も重要です。6歳以上のお子さんには、1000〜1450ppmのフッ素濃度の歯磨き粉が推奨されています。
矯正中の効果的な歯磨き方法
矯正装置を付けている場合、通常の歯磨きでは不十分なことが多いです。以下のポイントに注意しましょう:
- ・矯正装置の周りを丁寧に磨く(特にブラケットの周囲)
- ・歯間ブラシや糸ようじを使って、装置と歯の間の清掃を行う
- ・フッ素入り洗口液で仕上げのケアをする
- ・定期的に歯科医院でのクリーニングを受ける
また、矯正中は食生活にも注意が必要です。砂糖の摂取頻度が虫歯発生と密接に関わることがわかっています。間食の回数を減らし、決まった時間に食事をとることで、虫歯リスクを下げることができます。
夜更かしも虫歯リスクを高める要因です。早寝早起きの規則正しい生活習慣が、虫歯予防にも効果的です。
小児矯正のメリットとデメリット
小児矯正には様々なメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。治療を検討する際は、両方をしっかり理解しておくことが大切です。
小児矯正のメリット
小児矯正の最大のメリットは、成長期の顎の発達を利用できることです。具体的には以下のようなメリットがあります:
- ・顎の成長をコントロールできるため、将来的な不正咬合を予防できる
- ・早期に口腔習慣(舌癖、口呼吸など)を改善できる
- ・永久歯が正しい位置に生えるようガイドできる
- ・将来的な抜歯矯正の必要性を減らせる可能性がある
- ・歯並びが整うことで虫歯・歯周病リスクが低下する
- ・咀嚼機能が向上し、消化吸収が良くなる
- ・発音が改善する可能性がある
- ・見た目の改善による自信の向上
小児矯正のデメリット
一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります:
- ・治療期間が長くなる可能性がある(特にⅠ期・Ⅱ期治療を両方行う場合)
- ・費用がかかる(予防矯正で44万円、本格矯正で77〜110万円程度)
- ・装置装着による違和感や痛み
- ・装置があることで虫歯リスクが高まる
- ・定期的な通院が必要
- ・お子さんの協力が必要(特に取り外し式装置の場合)
矯正治療には一般的に様々なリスクや副作用も伴います。装置装着後の違和感や痛み、治療期間の延長可能性、虫歯や歯周病のリスク増加、歯根吸収、顎関節の痛みなどが起こる可能性があります。
これらのメリットとデメリットを踏まえた上で、お子さんの状態に最適な治療法を選択することが重要です。
小児矯正と虫歯予防を成功させるポイント
小児矯正と虫歯予防を同時に成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

信頼できる歯科医院選び
まず重要なのは、矯正治療と虫歯予防の両方に対応できる歯科医院を選ぶことです。矯正専門のクリニックでは虫歯や歯周病の治療まで対応してくれないケースも多いため、総合的に対応できる歯科医院を選びましょう。
むらせ歯科幕張院のように、矯正治療だけでなく、虫歯や歯周病などの治療にも対応している医院が理想的です。矯正治療を始める前に口内環境をしっかり整えることができます。
定期的なメンテナンスの重要性
矯正治療中は特に、定期的な歯科検診とクリーニングが重要です。プロフェッショナルによるクリーニングで、自分では取りきれない汚れを除去し、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
また、定期検診では初期の虫歯を発見し、早期に対処することができます。小さな問題が大きくなる前に解決することで、矯正治療の中断を防ぐことができます。
家庭でのケアと生活習慣の改善
歯科医院でのケアと同様に重要なのが、家庭での毎日のケアです。特に以下の点に注意しましょう:
- ・フッ素入り歯磨き粉を使った丁寧な歯磨き
- ・砂糖の摂取頻度を減らす食習慣
- ・早寝早起きの規則正しい生活リズム
- ・矯正装置の適切な管理と清掃
研究によると、夜更かしなどの生活習慣の乱れは、特に低年齢の子どもほど虫歯リスクを高めることがわかっています。早寝早起きの習慣づけも、虫歯予防には重要なポイントです。
まとめ:小児矯正と虫歯予防の両立が子どもの未来を守る
小児矯正と虫歯予防は、お子さんの健康な口腔環境を守るための両輪です。歯並びが悪いと虫歯リスクが高まり、虫歯があると矯正治療がスムーズに進まないという、密接な関係があります。
小児矯正の適切な開始時期は、一般的に7歳頃が目安ですが、お子さんの状態によって異なります。早期発見・早期治療が効果的なケースも多いため、気になる点があれば早めに専門医に相談しましょう。
虫歯予防には、フッ素の活用、適切な歯磨き習慣、規則正しい食生活と生活リズムが重要です。特に矯正装置を付けている間は、より丁寧なケアが必要になります。
矯正治療と虫歯予防の両方に対応できる歯科医院を選び、定期的なメンテナンスを受けることで、お子さんの健康な歯を守ることができます。
お子さんの将来の笑顔のために、小児矯正と虫歯予防の重要性を理解し、適切なケアを心がけましょう。
最後に、お子さんの歯並びや虫歯が気になる場合は、まずは歯科医院に相談してみてください。専門家の適切なアドバイスが、お子さんの健康な歯を守る第一歩となります。






